FXの1度の成功にしがみついて遂には借金まみれの日々に
S.Mさん(20代)
20代の頃、一攫千金を夢見てFXに投資しました。
その頃はとにかく仕事が嫌で、早くお金を貯めて仕事を辞めたい。辞めて自由気ままに生活したいと思っていました。
慣れない仕事と、周囲からの圧力で精神的に苦痛を感じていました。
けれど同居している両親からは仕事を辞めることを否定され、我慢することを強要されました。我慢できない自分が悪いと言われ続けました。
昭和初期に就職した親世代と平成の団塊世代の退職に備えて大量採用された世代とでは、事情も異なりますがそのことを主張する勇気もなければ、納得できるほど語れませんでした。
実家暮らし、生活費すら家にいれていない立場では何も言えなかったのが実情です。
とにかく稼ぎたい。けれど、人に使われるのは嫌だという我儘な考えを持ちつつインターネットで検索する毎日。
そんな時、出会ったのがFXでした。
当時はレバレッジ規制がされていないかったので、1万円で50倍、100倍の外貨取引ができる。すぐに利益がでるという広告に惹かれました。
そして、FXで成功した人の体験談や自由気ままな生活が紹介されている雑誌などを読んで、自分もそうなりたい。稼いで仕事を辞めたいと思うようになったのです。
すぐにインターネットで口座開設を申込み、貯金をくずし10万円を元手に取引を行いました。
なに一つ勉強することなく、単純に為替変動を眺め、気分で取引していました。
けれど当然儲かることはありませんでした。むしろ資金は毎日減っていくだけです。
そのうち勉強が必要と考えインターネットで無料で紹介されているサイトを参考にしたり、書籍を購入するなど試しましたが正直一つも上手くいきませんでした。
それでも諦めることができず、貯金をつぎ込みました。いつか必ず損失を取り戻せるという根拠のない自信があったのです。
そのまま損失を出して貯金を使い果たし終わればよかったのですが、ある日1万円が一晩、取引を繰り返し40万に増えたのです。
そのことが更に根拠のない自信を持つことに繋がりました。
偶然増えただけだったのが、自分の力だと思い込んだのです。
それから取引が加速しました。当然、根拠のない取引のため利益がでることもなく、損失が増え続けました。
貯金は全て使い果たしましたが一度儲かった経験にしがみつき、借入することで資金を調達しFXを続けました。
毎日、仕事中も取引を気にし、休憩時間には会社のトイレに駆け込み、携帯電話で取引を繰り返しました。
最後の方は精神的に不安定になりながら、現実と妄想の間をウロウロしている感覚でした。
毎日500円でも儲かればよい。必ず儲かると思いながら取引を繰り返しました。
時々、儲かることもありましたが、自分をコントロールできないため儲かっている状態で取引を終えることができなかたため、結局は損失が増え、借金も増えていきました。
その後、借金は200万円まで増え返済に困るようになりました。
毎日、返済の工面と取引のことが頭から離れず、精神的不安から体調をくずしました。そこで初めて辞める決心をしました。
最終的に残ったのは200万円を超える借金と、失われた5年の歳月に対する後悔の念でした。
現在は借金の返済と、時々沸き起こるFXに対する欲望と戦っています。
片手間に根拠もなく、感情だけで取引を繰り返す自分には、FXは無理だったのだと感じています。
FXで一攫千金を夢見ることができないと深く実感した、人生で一番大きな投資の失敗です。